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就活雑記

週刊文春で報じられた追手門学院の「辞めさせ研修」報道に関する雑感

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先週、追手門学院の退職強要問題がネットニュースで再燃しましたので、要所を抜粋しつつ雑感を述べたいと思います。なお、当該報道に係る情報の多くは、朝日新聞(2019年6月23日)により既報のとおりです。

問題となったのはこちらの記事。

すでにご覧の方が多いと思うので、ネット報道部分について逐一言及はしません。

要は、「腐ったみかん」などパワーワードのシャワーを浴びせられ、受講者18名のうち7名が退職・転籍等を余儀なくされたという事案。

Youtubeでその根拠だという音声が公開されています。

おそらくネット記事を読まれた方は、「こんな研修しといて録音されるのバカじゃね?」と失笑されたかもしれませんが、記事を読みすすめると、この録音データが事実であれば、学院側からの内部リークではないかと思わずにはいられません。

前述の朝日新聞による報道を受け、学院は当該研修の開催事実を認めています。しかし、大学HPに掲載された報告文は、「外部講師の発言とはいえ」など主体的関与を否定する内容にまとめられていました。今回の週刊文春の追加報道は、学院側の関与の度合いに踏み込む内容となっています。

ただし、話に「尾ひれ」を付けて売るのが週刊誌の常であり、客観的かつ公平な視点から記事を読み解く必要を感じます。そこで、より詳細な情報を得るべく、問題の週刊文春9月19日号を確認しました。なお、週刊文春は各社の雑誌サブスクサービスでも読むことができます。

問題の記事は見開き2ページ構成のゴシップ情報の一つ。ちなみに、前後の記事は『娘が告発 サンプラザ中野 爆風家族崩壊』と『嫌いだけど好きな韓国』であり、とても公益報道とは思えぬ誌面の一隅に掲載された記事であることを申し添えておきます。

それでは以下、記事から要所を抜粋しつつ雑感を述べます。

2016年8月22日、事務職員18名が新大阪丸ビル新館の一室に集められた。カーテンが閉められた会場の後席には、学院執行部の面々と人事課職員、そして私学の採用・人事コンサルティングを手がけるブレインアカデミー(以下ブ社)の社長が陣取っていた。

人事課員が記録係として研修に立ち会うことは珍しくありませんが、法人執行部や研修会社の社長まで居並ぶのは極めて異例かと思います。また、職員向け研修をわざわざ学外の貸し会議室で行うことも通常では考えられません。

そして、上記音声にもあった問題の発言。

「原則として今回の18名全員が(中略)学院を退いていただきたい。例外なくです。18人全員がね」

あとは、報じられているとおり、「腐ったみかん」「あなたはいらない」など、研修とは名ばかりのパワハラシャワー。ちなみに、後述する朝日新聞の既報によれば、研修対象者の選定には、年齢が28歳から59歳まで、前年度評価で降格など、5つの条件があるとのこと。中高年の追い出し研修を想像していると、ちょっと状況が違うようです。

「研修は1日8時間で5日間。皆の前で人格を否定され続け、本当に辛かった。」

こちらは研修参加者の声。追手門学院の就業時間は9時~17時までの実働7時間+休憩1時間なので、拘束時間という意味であれば8時間という数字に矛盾はありません。業界人としての感覚では、連続5日間の集合研修は(海外研修などの例外を除けば)極めて異例であり、何か特別な目的が無ければ行われるはずがありません。

しかし、関西の名門である同校が、なぜこのような退職強要を行うのか。その背景について、記事は以下のように伝えています。

ここ数年、学生間でも話題になるほど教職員の入れ代わりが激しい。今年4月に新キャンパスを新設したこともあり、3年前から人員整理に踏み切りました。

「学生間でも話題になるほど」の部分は眉唾。教職員の入れ代わりが学生から不審がられるのであれば、非常勤講師や契約職員などの有期雇用にも同じ問題が起こるはずです。

後段の新キャンパス設置とは、大阪北部、茨木にできた総持寺キャンパスのことですね。東芝大阪工場跡地を取得しての新キャン設置ですが、64,400平米の土地面積に建築費用が加わるので、軽く数百億のプロジェクトであろうかと思います。

さらに財務状況を確認します。追手門学院の情報公開ページによりますと、同校は2004年からR&I(株式会社各付投資情報センター)による各付けを受け、10年連続でA評価を獲得しています。ちなみに、R&Iによる格付け例としては、明治大学、近畿大学、大学改革支援・学位授与機構がそれぞれAAとなっています。

2013年を最後に格付け情報を公開していないので、公開したくない理由があるのか、10年を節目に格付けをやめたのかは分かりません。格付けを受けるにも数十万のコストがかかるので、A(シングルエー)の継続に魅力を感じなければ、格付けをやめるのも妥当な経営判断かとは思います。

ついでに認証評価結果も確認してまいりましょう。評価機関は大学基準協会なので信頼できるところかなと思います。財務評価に関しては、「要積立額に対する金融資産の充足率が毎年低下している」点は気になるものの、大学にとって最も重要な定員充足が確保されているため、改善指導は受けていません。

以上を踏まえると、新キャンパス設置に多額の費用がかかるものの、積極投資による支出が強引な人員整理の背景だとする記事の論調は、やや疑問符がつくかな、という印象を持ちました。

さて、週刊文春による記事の信憑性を問う上で重要なのが、朝日新聞による既報。

今年6月23日、朝日新聞がこの研修について報じると、学院は、理事長名でHPに声明を掲出。管理監督責任があった理事を厳重注意し、理事が報酬月額の10%を6ヶ月、自主返上するとした。

厳重注意ということで、懲戒ではない。懲戒ほどの悪質性は無いという判断なのか、職員懲戒規定を適用できない理事なのか、役員一覧を眺めながら逡巡しました。

これで幕引きかと思われた本件ですが、この研修の半年前に「伏線」があったというのが記事後半です。その伏線とは、中高管理職員10名を対象とした当事者意識確立研修。研修業者は同じくブ社で、講師も同じ人物ということです。

ところが、当事者意識確立研修の「成果」に満足しなかった学院担当理事は、ブ社の社長に対して、以下のようなメールを送ったと記事は伝えます。

最も特徴的だとされています、「圧迫的手法」も、「子供騙し」程度でした。「目的」達成度が不十分であるのなら、今回の費用を返却してもらうか、次回の研修は無料としてほしいと、私の感覚では、そのように言わざるを得ません。

辞めさせ行為を煽るような内容ですが、このメールについては記事中に写真等の根拠が示されていません。この手のメールが多数の宛先(CC)に送られるとは考えづらく、利害を共有する立場の人物から何の利益や目的があって内部リークが行われるのか、理解に苦しむところです。2006年に国会を揺るがせたメール捏造事件(いわゆる「堀江メール問題」)が頭をよぎりました。

もう一つ、存在の根拠を示していないのが稟議書です。

加えて同学院は、ブ社に対し、成果に応じた報酬も用意した。前出の稟議書には〈受講者に自律的キャリア形成への変化が認められた場合、1名につき108万円(税込)〉を支払う、と明記されているのだ。

もし稟議書が実在するなら、本件に関わった幹部全員が明るみになります。そのような、週刊誌が面白おかしく書きたてる「格好のネタ」をなぜ写真掲出しないのか、あるいは学院の反応を待って第2報でも考えているのか、この情報の信憑性とともに薄気味悪さを感じます。

なお、ブ社の社印入り請求書は画像掲載されており、その請求額は700万円強なので数字としては記事と辻褄が合うものの、研修名目で1名108万円の費用を大学予算から支出するなど常識では考えられません。

最後に、記事を一読しての所感として、ポイントは圧迫煽りメールと退職成果報酬に関する稟議書が真に存在するかという点ですが、もしこれら2点が実在するのであれば、何の目的で誰がこのような秘匿情報をリークしたのか、あるいは、噂の又聞きを膨らませたようなものなのか、いずれにせよ情報をリークした人物はかなり危ない橋を渡っていることに違いありません。

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